おしゃれで快適で使い勝手も良い 欧州7人乗りファミリーカー
室内空間の広さ、快適性、機能性、使い勝手の良さ、動力性能などさまざまな観点から特に優れた「7人乗り」のモデルを10台紹介する。
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ほんの十数年前まで、人や荷物をたくさん運ぶクルマといえば欧州でも日本でもミニバンが定番の1つだった。しかし、今ではクロスオーバー車やSUVが台頭し、選択肢は非常に広い。 “ファミリーカー” としても、徐々にSUVが主役となってきている。
デザインと走りの性能が厳しく求められる欧州市場では、7人乗りのモデルでもおしゃれで実用性が高く、快適で、よく走るものが多い。今回はその中から注目度の高いモデルをピックアップしている。
大人7人がゆったり乗れるモデルもあれば、広さを少し犠牲にしつつも動力性能を高めたモデル、コストパフォーマンスに優れたモデルもあり、実にバリエーション豊かである。
1. ボルボXC90
長所:広い室内空間、高級感、低いランニングコスト
短所:発売から約10年経つ、走りがあまりシャープでない、時代遅れの車載技術
ボルボXC90は、現在販売されている7人乗り乗用車の中でも最高の1台だと思う。広さ、実用性、快適性、そして気品の高さが見事に融合し、かれこれ10年近く販売されている(現行型は2014年デビュー)。
ライバルの中には、もっと走りがシャープなものや先進的な技術で勝負しているものもあるが、XC90は総合的なバランスが非常に優れている。欠点の少ない上品な優等生と表現できるだろう。
最大の強みはインテリアで、広々とした居住空間と充実した装備、そして質感高い素材でスマートに仕上げられている。3列目シートも広く、大人7人が快適に移動できるだけのスペースがあり、フル乗車時でもトランク容量は316Lと十分。2列目シートはスライドとリクライニングが可能で、子供用ブースターシートの取り付けにも対応する。室内の収納も豊富だ。
発売からかなり年数が経過しているにもかかわらず、まだまだ存在感は際立っている。エクステリアにもインテリアにも控えめな “クラス感” があり、一部のライバルのような威圧感はない。
大きな駆動用バッテリーを積むPHEVモデルでも、7人乗りの実用性は変わらない。「XC90 T8」は最高出力405psを発揮し、電気だけで最長約64kmの走行が可能だ。基本的には、どのパワートレインを選んでも刺激は少なく、快適性と洗練性を重視している。
2. ヒョンデ・サンタフェ
長所:洗練されたデザイン、広いトランク、最新技術
短所:PHEVモデルは高価、期待はずれの乗り心地、ステアリングフィールが物足りない
韓国ヒョンデが販売するサンタフェは、2018年の発売以来、弊誌のお気に入りの1台であった。PHEVモデルでも室内の広さは変わらない。
3列目シートは大人も座れるサイズで、乗り降りもしやすい。さらに、トランク容量は5人乗車時で571L、後部座席をすべて格納すると1649Lに拡大できる。
走りはゆったりとして落ち着いたものだ。PHEVモデルの1.6Lエンジンは加速時に少しうるさくなるが、出力90psの電気モーターが低~中速域でアシストしてくれる。ヒョンデによると、最長58kmのEV走行が可能だという。
また、ガソリンベースのフルハイブリッド仕様(合計出力230ps)と、長距離走行にぴったりな2.2Lディーゼルもある。
ステアリングは軽くて正確で、よほど急いでいない限り、おおむね満足のいく精度で走らせることができる。洗練性も高く、凹凸の激しい路面では乗り心地の粗さが目立つものの、基本的に快適だ。
PHEVモデルは約5万ポンド(約960万円)と安くはないが、この金額で同じような才能を持つクルマは少ない。
3. ダチア・ジョガー
長所:手頃な価格設定、経済的なマイルドハイブリッド、魅力的なデザイン
短所:3列目は狭い、力不足のパワートレイン、ボディロールが大きい
ルーマニアの自動車メーカーで、低価格車ブランドとして親しまれるダチアが欧州で販売する7人乗りミニバンのジョガー。一般的なBセグメント・ハッチバックよりも安い価格で、広さと装備を十分に備えている。
スタイルや洗練性の面ではライバルに劣るが、肩の力を抜いて付き合える「楽さ」がある。その魅力に抗うのは難しい。
ステーションワゴン、ミニバン、SUVの各ジャンルをまたぐようなデザインで、あらゆるニーズに応えてくれる。大人7人が乗れるだけのスペースがあるが、3列目シートはやや狭く、長時間の移動の際には向かない。後部座席は折りたたみ(3列目は取り外し)可能で、最大2094Lのトランク容量を誇る。
インテリアはプラスチック部品が多用されていて安っぽさを感じるが、ダッシュボードやドア内張りには、ファブリックトリムなど気の利いた装飾が施されている。収納スペースも多い。
1.0L 3気筒ターボガソリンエンジンは、7人乗車時は力不足感が否めないものの、比較的スムーズな走りを見せる。ステアリングは軽くて正確で、高い着座位置と相まって非常に運転しやすい。激しいコーナリングでは酔っぱらいのようにロールすることがあるが、グリップは強く、ハンドリングは確かな安心感がある。
切れ味鋭いストリートファイターというわけではないが、実に個性豊かで、クルマを操る満足感が得られる。重量は増すが、親会社ルノーの開発した経済的な1.6L 4気筒マイルドハイブリッドも用意されている。
4. フォルクスワーゲン・マルチバン
長所:フレキシブルなインテリア、広い室内空間、長距離走行も快適
短所:電気のみの航続距離は改善の余地あり、比較的高価、扱いにくいインフォテインメント
SUV主流の中、欧州ではミニバン(MPV)の影がすっかり薄くなってしまったが、フォルクスワーゲンのように新型車を投入し続けるブランドも少なからず存在する。新型マルチバンは、他の追随を許さない広さと多用途性を持つ「車輪のついた箱」である。
非常にフレキシブルなインテリアに、成熟したドライビング・ダイナミクスと高級感を組み合わせており、ファミリーカーとして合理的な選択肢となっている。
フォルクスワーゲンはこれまで商用車ベースのカラベルなどを販売してきたが、洗練性に欠ける一面も多く見られた。しかし、最新モデルのマルチバンは乗用車でおなじみの「MQBプラットフォーム」をベースに開発され、驚くほど正確なコントロール性と、従来では考えられなかった快適な乗り心地を実現している。
MQBプラットフォームの採用により、1.4Lガソリンエンジンと電気モーターによるシリーズ初のPHEVモデルが登場した。合計出力218ps、電気のみの航続距離は50kmとされている。従来のガソリンモデルとディーゼルモデルもある。
最大の特徴はインテリアだ。その広さとモジュール性により、あらゆるニーズに簡単に適応できてしまう。大人7人が快適に座れるだけのスペースがあり、後部座席はスライド、リクライニング、折りたたみ、回転が可能だ。
移動可能な多目的収納コンパートメントや、軽食に最適な折りたたみ式テーブルなども魅力的だ。さらに欧州車としては珍しく、両側スライドドアを備えている点も見逃せない。
魅力が多く詰まっている分、価格は安くない。右ハンドルの英国仕様では5万ポンド(約950万円)弱からスタートし、上位モデルは6万ポンド(約1150万円)を超える。
5. ランドローバー・ディフェンダー130
長所:8人乗り、本格的なオフロード性能、魅力的なハンドリング
短所:高価な価格設定、信頼性に疑問あり、巨大
ランドローバー・ディフェンダーのロングモデル「130」は、確かに高価ではあるが、最大8人乗りという他社にはない魅力を持つ。
標準的なディフェンダー110では5人乗り、6人乗り、7人乗りから選ぶことができるが、ロングボディのディフェンダー130では「2+3+3」の構成で8人乗りが可能だ。
ちなみに英国では、法律上の理由から運転席と助手席の間にジャンプシートを入れることができない。その制約がなければ、9人乗り(3+3+3)も可能だったろう。
いずれにせよ、素晴らしい多用途性を持っていることに変わりはない。8人乗車時でも400Lのトランク容量を確保しており、非常に使いやすいが、全長5358mmもあるので街中での取り回しには苦労する。
7万ポンド(約11340万円)からと高価であるが、高い動力性能、最新の電動パワートレイン、そして本格的なオフロード性能を備えている。ボディサイズと価格を許容できるのであれば、ファミリーカーとしてこれ以上の高級SUVはない。
6. キアEV9
長所:大胆なルックス、多彩なインテリア、長い航続距離
短所:ライバル車より大きい、質感が価格にやや見合わない、EVのため万人向けではない
EVでも7人乗りモデルが台頭し始めているが、キアEV9は現時点でトップクラスの実力を備えている。
満車の駐車場でも見つけるのに苦労することはないだろう。いわゆる「フルサイズ」のSUVで、レンジローバー・スポーツやBMW X5、ポルシェ・カイエンなどとほぼ同じサイズ感である。大きな氷の塊から削り出したような直線基調の大胆なルックスは、抜群の存在感を放つ。
EVならではのパッケージによりインテリアの汎用性も高く、シートレイアウトは6人乗りと7人乗りが選べる。6人乗り仕様では、メルセデス・ベンツVクラスのように2列目シートが回転式の「キャプテン」チェアとなるが、7人乗仕様では3人掛けベンチシートとなる。
3列目シートは、小柄な大人や子供用ブースターシートには十分な広さで、後席5席のうち4席にIsofix(アイソフィックス)ポイントが装備されている。3列目は電動で格納・展開する。5人乗車時は非常にゆとりのある居住空間が生まれる。
バッテリー容量は99.8kWh。最高出力200psのシングルモーター・後輪駆動モデルのWLTP航続距離は560km。メーカー公称値のエネルギー効率(電費)は4.8km/kWhだが、弊誌の実走行テストでは4.5km/kWhと非常に近い数値を達成した。
ツインモーター・四輪駆動モデルのWTLP航続距離は505kmとされる。弊誌の長距離走行テストでは、110km/hで417kmを記録した。市街地メインでは480kmを達成できると予想される。
7. プジョー5008
長所:目を引くエクステリア、洗練されたディーゼルエンジン、高い質感
短所:静粛性は高くない、特異なコックピットデザイン、まもなく新型車が発売
車名に「00」がつくプジョーのSUVシリーズで最上位に立つ5008は、スペースを最大限に活用している点で特筆に値する。フラッグシップとはいえミドルサイズSUVであり、今回紹介する10台の中では小さい部類に入るが、チャイルドシートの取り付けやすさなど、さまざまな美点がある。
3人掛けの2列目シートはベンチ式ではなく独立式で、スライドと折りたたみができるほか、すべてにIsofixポイントが備わっている。真ん中の席を前方にスライドさせれば、かさばるブースターシートも3つ並べられるかもしれないが、少々窮屈になるだろう。
3列目シートは子供が座れる程度の大きさしかないが、2列目を前にスライドさせてスペースを確保すれば、小さなチャイルドシートを乗せることができる。
パワートレインのラインナップも豊富で、ハンドリングに優れ、街中でも扱いやすいサイズに収まっている。
なお、5008は今年3月にフルモデルチェンジが発表された。新しいハイブリッドモデルやEVモデル「e-5008」も登場し、内外装のデザインも大きく変わった。本稿執筆時点ではまだ試乗できていないが、新型車の実力に期待したい。
8. ランドローバー・ディスカバリー
長所:ラグジュアリーな雰囲気、7人乗りが標準、絶え間ない製品改良
短所:比較的高価、効率性でライバル車に劣る
ランドローバー・ディスカバリーが発表されたとき、後部座席がすべてパワーシートで、スマートフォンアプリで遠隔操作もできるとして話題になった。乗車前に予定乗員数に合わせてあらかじめシートレイアウトを設定できるというものだ。
ただし、上級グレードにのみ設定されており(オプション)、またトランクに常に荷物を積んでいる場合にはあまり意味がない機能だ。また、英国向けの車両価格はおよそ6万ポンド(約1150万円)からと比較的高価である。
いずれにせよ、ディスカバリーは高い機能性とラグジュアリーな雰囲気を兼ね備えた7人乗りSUVとして注目に値する。エントリーグレードでも7人乗りが標準で、5つの後部座席のうち4つにIsofixアンカーが付いている。
2021年初めの改良では、サスペンション、インテリア、エクステリアが変更された。6気筒エンジンなどパワートレインは複数あるが、PHEVモデルは5人乗りとなる。
9. スコダ・コディアック
長所:優れたコストパフォーマンス、フレキシブルなディーゼルエンジン
短所:硬めの乗り心地、ハンドリングにやや難あり、室内がもう少し広ければ…
チェコの自動車メーカーでフォルクスワーゲン・グループ傘下のスコダは、2016年に7人乗りの中型SUVとしてコディアックを投入した。
価格帯とサイズの割に室内が広く、余裕のあるトランクを備えており、ほぼ全グレードで7人乗りが標準となっている。スポーティ仕様のコディアックvRSも同じく7人乗りだ。
ただし、室内の幅はややタイトで、後部座席にチャイルドシートを3つ並べるのは難しい。体格の大きい人にとっても、他車より狭く感じられるかもしれない。
なお、ユーロNCAPの衝突安全評価では、3列目シートのチャイルドシートの使用は推奨されていない。ただし、同じような指摘を受けている7人乗りモデルは他にもある。いずれにせよ3列目への乗降はやや難しく、チャイルドシートの脱着も窮屈だ。
ガソリンやディーゼルなどパワートレインは幅広く用意されている。コディアックvRSでは最高出力245psを誇るが、期待するほど速くなく、燃費も悪い。
コディアックは基本的に快適で運転しやすいクルマであるが、仕様によっては少し硬い乗り心地となる。
10. メルセデス・ベンツGLB
長所:快適、雑味のないハンドリング、広い室内空間
短所:洗練されていないディーゼルエンジン、ハッチバックベースによる乗り心地の悪さ、高速コーナーで苦戦
メルセデス・ベンツGLBは、興味深いデザイン戦略を採用している。最上位のGLSのデザイン要素を採り入れた比較的コンパクトなボディで、7人乗りを実現したのだ。この2点は、CセグメントのコンパクトSUV市場において非常に大きな武器となっている。
1.3L 4気筒ガソリンから2.0Lガソリン、2.0Lディーゼルとパワートレインは複数あり、最上位モデルとして最高出力306psのAMG GLB 35も用意されている。
アダプティブダンパー(オプション)装着車の乗り心地は快適で、柔らかめのセッティングだがハンドリングも良好だ。四輪駆動の4マチック車は、ある程度のオフロードでも優れた性能を発揮し、ランドローバー・ディスカバリー・スポーツに匹敵する走りを見せる。
2列目シートは前後にスライド可能で、大人がゆったり座れる広さがある。しかし、3列目シートはかなり小さく、小柄な人か子供専用である。チャイルドシートを装着できるIsofixポイントは後席の5つのうち4つに備わっている。
EVバーションのEQBも見逃せない。シートレイアウトはそのままに電動化した、世界的にもまだまだ希少な7人乗り電動SUVである。決して安くはないが、快適性が高く運転もしやすい。また2023年の改良では、空力性能の向上や低転がり抵抗タイヤの採用により航続距離も約500kmに延長された。
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日本基準1.9M
海外は2.6M基準
線跨ぎ中央しか走れないんだよ
わざわざ選ぶ理由がないというのが現実